35歳 多嚢胞性卵巣嚢腫の診断
私は、若い頃から生理不順だった。大体いつも40日~60日くらいの周期で、1年間に8~9回くらい生理が来る。そして、不正出血も頻繁にあった。排卵日かな?というあたりにも出血したし、生理でも何でもないときにうっすら出血するのも日常茶飯事。
10代の頃からこんな感じだったので、30代後半になって生理が半年くらい来なくても、そんなに深刻に考えていなかった。
管理職ということもあり仕事がなかなかのハードワークで、娘たちも小学生になってそれぞれ熱中して取り組んでいる習い事があり親としても忙しく、気づけば生理が全然来なくなっていた。
生理前のようなお腹が張っているような突っ張るような感覚があっても、何週間も生理が始まらない。さすがにどうにかしなくてはと思い、婦人科で診察を受けたのは35歳の頃だった。
血液検査と内診の結果、告げられたのは「多嚢胞性卵巣嚢腫」。
男性ホルモンが多いとか、なんだかちょっと悲しくなるコメントと共に、この状態になると排卵がされにくく生理も安定しないこと、お薬を飲んで定期的に子宮内膜をはがしたほうが良いことなどを説明してもらい、生理をこさせるお薬をもらった。
思えば、永久脱毛したのにこのころから口周りと顎になんだか太めの毛がまた生えてくるようになっていた。ホルモンバランスがおかしくなってることの影響の可能性が高いようだった。
36歳~37歳 来ない生理
せっかく病院に行き、生理が来るようにお薬の処方を受けたものの、日々の忙しさに負けてなかなか定期的に婦人科に通うことはできなかった。お薬をもらわないと、生理はほぼ来ない状況になっていた。
きっと排卵してないんだろうな~と思いつつ、もう妊娠を望んでいるわけでもないしと、さほど重要にとらえていなかった。
もしかしたらこの時期にきちんと通院して、毎月内膜をきちんと排出させていたら、子宮体癌になるのがもっと遅かったんじゃないかとか、そもそもならなかったんじゃないか…ということは今でも考えてしまう。
生理の不調を抱えている方は、どうか後回しにせず婦人科を定期的に受診してほしい。これは強く強くお伝えしたいこと。
排卵が起きない→生理も起きない→内膜が子宮にたまった状態が続く
これが、子宮体癌のリスクになると知ったのは、子宮体癌の診断を受けた後だった。もっとしっかり勉強しておくべきだったという後悔は、いまもちょっぴり残っている。
38歳~39歳 まるで水のような帯下(おりもの)の謎
38歳になったくらいの頃から、ときどき「サラサラで無色無臭の、まるで水のようなおりもの」が大量に出ることがあった。出始めると数日続き、いつの間にか止まる、というのを何度か繰り返した。
どれくらいの量だったかといいうと、もう尿漏れを疑うレベル。パンティライナーでは吸収が間に合わなかったけど尿漏れパットを買うのはちょっと恥ずかしかったので、夜用のナプキンを付けていた。そうしないと、下着どころかスカートやズボンにまでしみてしまうほどの量だった。
さすがに何かおかしい、とは思っていたものの、においもなければ色もない。かゆみや痛みがあるわけでもない。ただ水っぽいおりものが多い「だけ」ととらえてしまい、この症状での受診はしなかった。
健康診断では一応婦人科の先生に質問してみたものの、ホルモンバランスですかね?という感じの回答だったので、深刻ではないのだと考えてしまっていた。
子宮体癌と告知された後に色々調べたところ、この「水のようなおりもの」というのは不正出血と並んで子宮体癌のよくある初期症状のひとつだということを知った。内膜細胞ががん化するときに、水分が出てくることがあると担当の医師からも説明を受けた。
色やにおいの様子がおかしくなくても、水のようなおりものは危険だ、ということは多くの女性に知ってもらいたいと思う。
子宮体癌の検査
2026年の2月、また長期にわたって生理が来なかったため、いつもの婦人科を受診した。内心の際に先生から、「子宮内膜が通常の人より厚い。ただの生理前ならいいんだけど、念のため子宮体癌の検査をしたほうがいい」と言われた。
しかし情けないことに、私は子宮体癌の検査がとても怖かった。子宮の奥まで器具を入れて内膜を採取すると聞いて、完全にビビってしまった。10年ほど前からパニック発作のような状況になることがあり、苦手なことを過度に怖がってしまう、診察や注射、狭いところなどのことを考えるとドキドキして息苦しくなってしまうという症状を持っていた。
そして、3月には健康診断を控えていた。そのため、「もうすぐ健康診断なので、今日は大丈夫です」と答えてしまった。仕事も本当に忙しい時期で、娘の大事な発表会の親としての仕事もたくさん抱えていた時期で、2週間後にまた病院に来る余裕もなかった。
先生からは「健康診断の項目に子宮体癌がなかったら、必ずまた近いうちに受診してね」と念押しの言葉があった。今思えば、先生から見て相当疑わしい状況だったのではないかと思う。
そして、2026年6月。不正出血が3週間ほど止まらなくなり、さすがにこれは…と再び婦人科を受診した。問診票を書いていると、看護師さんから「健康診断で子宮体癌の検査はしましたか?」と聞かれたので、「いえ、頸癌のみでした。頸癌はなんともなかったです」と答えた。
名前を呼ばれて診察室に入り、水のようなおりものと不正出血のことを伝えてから内診へ。超音波で確認してもらっていると、先生から「やっぱり内膜がとても厚いので、念のためこのまま検査したい」と告げられ、そのまま内膜を採取してもらうことになった。
どうやら細胞を採取して確認する方法と、もう少し内膜組織をしっかりとって確認する方法があるようなのだけれど、先生からは「より正確にわかるように、しっかり組織をとって検査に出しますね」というコメントがあった。
内膜組織をとるのはとても痛いとか怖いとか聞いていたので、おびえて冷や汗たらたらになってしまったけれど、先生はとても上手で、痛みはまったくなかった。おなかの奥を触られる気持ち悪さはあったけれど、痛みは本当にほぼなかった。
ただ、検査の影響なのか、その日から生理のような出血が始まり、6日間ほどしっかりした出血が続いた。生理だったのか検査の影響だったのかは今でも謎のまま……。
39歳 子宮体癌と告知
検査から1週間後に予約を取って病院に行くと、まだ組織診断の結果は来ておらず、同時にみてもらったおりもの検査の結果が来ていた。
おりものの検査ではおかしなところは何もなく、先生もほっとした表情をしていた。
「内膜の検査結果が届いたらお電話するので、そしたら予約を取ってまた来てくださいね」と言われ、その日は帰宅した。
それから5日後(内膜を採取してから10日後)の朝8時半。
検査結果が届いたこと。お伝えしたいことがあるので、できる限り早く病院に来てほしいことを、電話で告げられた。できれば今日来てほしいくらいだといわれ、「あぁ、きっとよくない結果なんだろうな」と少し察しがついてしまった。
たまたま在宅勤務日で午前中に会議もなかったので、上司に事情を伝え、10時半から診察してもらえることになった。
そこから、鬼のように検索をしてしまった。癌じゃなくて、内膜増殖症とかそういう可能性もありそうだと自分に言い聞かせ、病院へ向かう。手が少し震えてしまい、運転をするのが怖かった。
受付で名前を告げると、スタッフさんがすぐに先生の所へ行き、ほかに待っている方がいたにもかかわらず、すぐに名前が呼ばれた。
検査の結果が届きました。心配していた通り、子宮体癌という結果が出ています。大きな病院を紹介するので、できるだけ早く予約を取って診てもらってください。
そんなに簡単に泣いたりするタイプではないけれど、この時は耐えられず泣いてしまった。先生は優しい表情で、以下のように続けてくれた。
子宮体癌は、癌の中ではかなり性質が良く、進行が遅く、手術でほぼ取り切れるという特徴があります。私が見たところ、そんなに進行している様子はないので、とにかく大きな病院で早く診てもらって、治療を開始しましょう。紹介状を準備するので、少し外でお待ちくださいね
そこから先、正直どうやって家に帰ったのかをあまり覚えていない。
受付で紹介状をもらって、紹介先の大学病院の予約方法を教えてもらって、気が付いたら家に帰ってきていた。夫が出勤するところだったので、「癌になっちゃった」と話したら、涙が止まらなくなってしまった。
夫もかなり動揺させてしまったが、なんせ出勤しなくてはいけないので、帰ってきたらしっかり話そうと言いながららあわただしく仕事へ。
私も仕事に戻らなくてはいけないけれど、手が震えてしまってPCをうまく開くことができなかった。とりあえず大学病院を予約しなきゃ、と手続きしたら、なんと2日後にすぐ予約することができた。
その日も平日で仕事があったので、直属の上司に少し時間をもらって、事情を話し半休をもらえることとなった。私より10歳ほど上の男性上司なのだけれど、ずいぶんと驚かせ、心配をかけてしまった。
部下が癌になっただけでも動揺するだろうし、それが婦人科周りの話であれば、男性からはコメントもきっと難しかっただろうなと思う。
仕事のことは気にせず、とにかくまず検査をしっかり受けて、と言ってもらえて、本当にありがたかった。そのあと、上司の上司(これまた男性)と、部内の同じ役職のとても信頼している男性にも事情を話し、急な不在をお詫びした。
3人ともとても驚いていたけれど、心配して本当にやさしい言葉をかけてくれて、弱った気持ちが随分と励まされた。
そのあとの会議では平静を保つことができたし、夕方、子どもたちが学校から帰宅してからは、落ち込んでいるところは一切出さずに過ごせたと思う。
とてもとても、長い1日だった。

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