羽生結弦選手、ピョンチャン金メダルおめでとう!
金メダル、おめでとう!!!
きっとやってくれるって、信じていました。
でも…。実際に滑りをみるまでは、ほんのすこしだけ心配でもありました。
ピョンチャン入りした時のちょっとやつれたような表情。
絞った?ゲッソリしている?4回転ジャンプは本当に跳べるんだろうか。
でも、16日のショートを見て、そんなものはすべて杞憂だったと思い知らされました。
世界が見守った最初の4回転サルコウは、鮮やかな着氷。
トリプルアクセルは、GOE3点満点の最高の出来。
4回転トウループ‐3回転等トウループのコンビネーションも、まったくぶれない素晴らしいものでした。
ラストのコレオシークエンスに入る前の、大きく手を広げる動作は、まるで勝利を引き寄せているかのよう。
ただただ美しくて、ただただ見惚れた2分40秒。すべての要素に加点がつく、非の打ちどころのない演技。
「王の帰還」という表現ががこんなにもふさわしい場面、人生で何回リアルタイムで見られるのでしょう。
111点がちょっと物足りなく感じるくらい素晴らしかった。
続くネイサンが絶望的な大崩れになり、コリヤダ君は完全にオリンピックの魔物にとらえられてしまった。
実力者二人がメダル争いから転落して、空気が沈みかけた最終グループ後半。
みんなのアイドルボーヤン(天天)、全日本チャンピオン昌磨、そして盟友ハビちゃんのすばらしい演技。
みんなが出しきった上で結弦が勝つ!そのための舞台が整ったようなSPに感じました。ミスひとつでひっくり返る点差。痺れます。
そして迎えた17日のフリー。
まず衝撃を受けたのが、まさかの17位で第2グループに登場したネイサン。
まさに魂の演技。自分が4回転の申し子であることを見せつけ、技術点は120オーバー。ソチの時の真央ちゃんを思い起こさせる、力強い演技でした。
挑んだ4回転は6本。成功は5本。もちろん五輪史上初です。
ショートでミスしていたからこそ、思いきって挑めたというのはあるかもしれません。
でも、もしもショートで本来の力を出せていたら結果はどうなっていたのか…
ずっと左上にネイサンの技術点が表示されているから、詳しくない人がみたら後に滑った人が下手に見えてしまう恐怖。
フリーの最終グループが登場してからは、もうまともにテレビをみれないほどに、こちらも緊張しっぱなしでした。
ボーヤンは転倒こそあったものの、フリーでもすばらしい演技を見せ、Pチャンは集大成とも呼べる美しいハレルヤを披露。
…そして登場した、伝説。
名前をコールされ中央に立った瞬間、神様が降りてきたような気がしました。
「今までよく頑張ってきたね。さぁ、行っておいで。」
美しい4回転サルコウとトウループ。助走レスの3回転フリップ。
後半の4回転サルコウ‐3回転トウループを降りた瞬間、沸き上がる歓声。こらえた4回転トウループからの、トリプルアクセルのコンビネーション。
またまた助走レスの3回転ループに、右足の根性をみた3回転ルッツ。
絶対に転ばない。絶対に勝つんだ。俺が王者だ、と訴えるような演技。
最後のステップは、悲鳴と歓声に包まれる、興奮の海。
こんなにしびれる演技がみられるなんて。
演技後、感情を爆発させて叫んでいた姿も本当に印象的でした。
右足を愛しそうに撫でている姿は、涙なくしては見られませんでした。
いったい、どれだけのものと戦っていたのか。
凡人には想像もつかない世界で、どれ程もがいてきたのか。
昌磨君の演技が終わって、金メダルが確定したときには、もう羽生選手は泣いていました。
きっとあの涙は、自分自身の金メダル獲得を喜ぶものであったと同時に、盟友ハビがメダルを獲得できたことへの喜びでもあったに違いありません。高め合い尊敬しあってきた、ライバルであり友人。
もし、ハビの4回転サルコウが2回転にならなかったら。もし、昌磨が4回転ループで転ばなかったら。結果は違っていたかもしれません。
でも、結弦のジャンプは抜けなかった。結弦は転ばなかった。それが勝敗を決めました。
頑張ったご褒美か、「冬季5輪1000個目の金メダル」というオプションもついてきましたね。もちろん、羽生選手にとってそれはさほど意味のある記録ではないと思いますが、「持ってる」ということをきっちり証明してくれました。
神に愛された男。
メダルをかけてもらうときの笑顔、最高にかっこよかったよ!
結弦、昌磨、ハビの表彰台。結弦ファンにとってはこれ以上ない組み合わせだったのも最高でした。
ニコニコのハビちゃん、いまだに状況がわかってなさそうな昌磨、そして喜びを抑えきれない結弦。こんないい景色が見られるなんて、感無量です。
夜は色々なTVに出演していたけれど、松岡修造さんの取材に対して「色んなものを捨てた」って話していたのがとても印象的でした。
長い期間準備して、やっと迎えたオリンピックシーズン序盤での、まさかの大ケガ。
オリンピックでの連覇。金メダル。そこだけを目指すために、どれ程のものをあきらめ、削ぎ落としてきたんだろう。
きっと、恋愛とか友達との時間とか、そんな物質的なものじゃなくて。心の中にあった様々な願望や小さな目標も、全部、全部オリンピックのために置いてきた。
5連覇のかかっていたグランプリファイナルにも、全日本にも出られなかった。
本当なら、オリンピックの舞台で、4回転ルッツも4回転ループも、跳びたかったに違いありません。フリーにはトリプルアクセルを2本入れて、ここまで積み上げてきた技術のすべてを出したかったに違いなかった。
挑むことがなによりのモチベーション。そして、「最高得点での圧倒的勝利」。それを目標にしていたのはファンなら誰しも知っていたことです。
だけど、羽生選手は「勝つこと」にこだわった。
4回転はサルコウとトウループに絞って、総合力での勝負。
でも、「下げた」状態でこの構成を組めたのは、この4年間があったから。ループに挑み、ルッツに挑んだ時間があったから。ケガを乗り越えてきた経験が、何回もあったから。
ここまで経験してきたドラマチックな出来事のすべてが、オリンピック連覇のための布石だった。そう思える状況でした。
本当におめでとう。感動をありがとう。
羽生選手は「感謝」という言葉を何回も口にしていたけれど、あなたの姿に感謝している人が世界中にいるよ。
引退の噂もありましたが、どうやら現役は続行してくれるとのこと。
ワールド、来シーズン休養の可能性はありそうですが、右足を、そして体をしっかりいたわって。
万全の体になったら、また新しい伝説を見せてほしい…そう願わずにはいられない夜になりました。
これだからフィギュアファンはやめられないね!
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